ロンディウム

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・ロンディウム

 蒸気の街、霧の街との別称も有名な大都市ロンディウムこそがアングルランド経済の中枢であり、文化の中心である。

 面積的に決して小さい都市ではないのだが、人口三十万を抱えるには市壁の中は狭過ぎ、細い路地には無数の集合住宅がひしめき合っている。

 大通りには近年開発されたガス灯が立ち並び、血管の様に住居の壁を這い回る配管は、この街独特の景観を生み出している。数多くの工房、工場が吐き出す煤煙に包まれるこの街を見て、小さな(そして汚い)ゴルゴナを想起する旅人は多いだろう。地域柄、あまり陽の光が差すこともなく、霧雨の降る日には陰鬱さすら感じさせる光景も、しかしこの街に溢れる活気は、それを振り払うに充分な熱量を持っている。

 経済規模はユーロ地域随一で、最も商機に満ちた都市と言える。一方、物価の高騰から市民間の所得格差は広がっており、女性の五人に一人は娼婦と言われる程に、困窮した人々も多い。

 文化面でもユーロ地域の流行を牽引する立場にあり、滂沱の時代以降、皮革と真鍮製のアクセサリーを中心としたアングルスチームというファッションは、他国にも広がりを見せる程の人気である。

 

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