ラテン都市同盟概略

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・ラテン都市同盟 Latin Cities Alliance

 

 シレーナ海を臨むかつての第三世界帝国、大ラテン帝国の中心部であったこの地域に、今は大きな国と呼べるようなものはなく、それぞれの都市が条約上は緩やかに手を組んだ、同盟地帯となっている。皮肉にもこのような形は、この地域が大ラテン帝国の中心となっていた時代よりも、それぞれの連帯意識を密にしているようだ。

 平時は経済で激しくしのぎを削っている諸都市だが、時折あるグランツ帝国からの侵略には、一致団結してこれに抗戦する。

 

・産業

 小麦、オリーブ、レモン、そして開拓地からもたらされたトマトといった農産物が主だが、工芸品、武具の取引も多い。ラテン都市同盟の職人は腕が良いことで評判である。

 都市間を移動する荷や行商にはほとんど関税がかからないため、地域の経済は非常に活発である。大陸鉄道の他、この地域には大小様々な私鉄が走っていることも、経済発展に拍車をかけているようだ。

 都市ごとに旅人を惹き付ける何かがあると言われ、巡礼はもちろん、観光目的に諸外国から訪れる人も少なくない。都市間には概ね私鉄を含めた鉄道が走っていおり、人の出入りは多く、落としていく金もまた多い。

 

・政治

 都市部では、共和制を取っている都市が多い。それぞれの都市から干渉を受けづらい町や村では、この地域が封建制であった頃の諸候が力を持っているが、本来の爵位とは間尺に合わない程度の力しか有していない。代々伯爵位を受け継ぎながら、小さな村ひとつの村長であるといった、おかしな構造も多々見られる。

 都市同士はあくまで独立性を保っており、都市ごとの法は異なる。違法行為の規定自体は盗み、殺人、詐欺等基本的なものは同じとはいえ、量刑は異なり、決闘のように、中には都市ごとにそれが違法行為にあたるかどうかが異なるものもある。

 だがラテン人たちは特に法に対して、よく言えば大らか、悪く言えばいい加減なところがあることは否めず、細かい事案に関しては法に全て照らし合わせるよりも、現場の各々がその時の状況に応じて裁量することも少なくない。また、封建制で会った頃の爵位を持つ者がいるものの、現在の諸都市の法に照らし合わせて、どこまで実効性を持つのか不透明なこと等々も、法の曖昧な解釈に拍車をかけているようだ。

 

・軍事

 各都市ともそれなりの装備を整えているが、一部の地域を除き、兵の練度はさほど高くない。

 徴兵制と志願制の半々で兵は集められているが、特に徴兵によって集められた者たちの練度は低い。

 怪物の出現頻度も低く、諸外国との関係も良好だからといわれるが、むしろ頻発する諍いの仲介に入る警備兵や、闇社会の構成員の方が遥かに戦闘に慣れているとの話だ。本当に腕っ節のいい者はそうした組織に勧誘されたり、傭兵になったりするという。

 ただ、経済の発展から各都市共に充分な数の守兵を常備兵として抱えており、こと防衛に関しては、かなりのものだと評する者もいる。

 諍いから戦に発展する場合は、双方共に傭兵を雇うことが多く、小さな傭兵団は無数に存在している。

 

・住民

 人口の大半を人間のラテン人が占めるが、大都市にはエルフ、ドワーフ、ハーフリングといった多種族の共同体もある。またラテン人の寛容さ(いい加減さと揶揄されることも多い)もあり、獣人、吸血鬼、魔人といった、他の地域では忌避される者たちの姿を見ることも、この地域ではそうそう珍しいことではない。奇異の目にさらされたり差別を受けることも多いが、この地域で本格的な迫害が行われることは、宗教的な熱狂を除き、ごく稀である。

 

・宗教

 セイヴィア教最大宗派であるアモーレ派の総本山、サンタモーレ寺院のあるレムルサを抱えているだけに、住民の大半はセイヴィア教アモーレ派である。ただ、僻地の村々には土地神信仰も残っており、宗教的には寛容な地域といえる。

 セイヴィア教と各地の宗教が入り交じった祭典は、多く行われている。

 

・言語

 公用語はラテン語。ただ、人の流れが激しいため、地元民同士のやりとり以外では、共通語が使われることもある。

 

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