アッシェン概略

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・アッシェン Hachen

 

 広い国土と肥沃な大地で長く大陸の穀物庫として知られてきたアッシェンだが、アングルランドの侵攻、百年戦争以降は、国土も国民も疲弊の一途を辿っている。都市部を見れば今も最も豊かな国のひとつに思われるが、農村部の疲弊はひどく、民による反乱も頻発している。

 内外共に危機にさらされた大国は、崩壊の危機に喘いでいる。

 

・デルニエール

 今はデルニエールと呼ばれる地域も、かつてはアッシェンの南半分に当たる国土であった。しかし古来より、怪物たちの多く出没する地域でもあった。

 増え続ける怪物たちを抑えることができず、大陸歴3152年、アッシェンはデルニエールの地の統治を放棄する。

 そのデルニエールから押し寄せる怪物たちに対する防壁として、南の国境沿いに位置するのが辺境伯領である。

 また、この地域には"デルニエールの悪夢"と呼ばれる地域があり、第一世界帝国以前、神代にまで遡る古代の都市があるとの噂もある。

 

・辺境伯領

 デルニエールとの国境沿いに、東西に長い長城が構えられており、その長城を管轄、南からの怪物の大群を押しとどめているのが辺境伯たちである。長城の内側(北側)が、辺境伯領となる。

 

・産業

 農産物が主な産業。北部では大陸鉄道の線路も走っており、いくらか流通も安定しているものの、中央部では私鉄すら大した物がなく治安も安定していない為、経済全体が滞っている。

 かつては北西部の領土で、羊毛の一大生産地帯であったレヌブラン地方をアングルランドに奪われて以降、産業自体が急速に衰退の方向に向かっている。

 首都パリシと、ゲクラン領を含むその周辺地域を除いては、国民は概ね貧しい生活を強いられている。

 

・政治

 封建制度が特に根強く残っている地域でもあり、王の権力は、建前上は頂点とはいえ、有力諸侯と比べると決して大きいとは言えない。この国では爵位の上下よりも、それぞれが持つ経済力、軍事力が、その貴族の発言力の高さとあからさまに直結している。古い血の因習と実質的な力の落差がこの国の政治を複雑にしている。

 議会では三部会の発言力が強く、また、南東部では貴族同士の領地の奪い合いも公然と行われており、お世辞にも一枚岩とは言えない国体である。

 西の沿岸部は、事を構えないながらも決して友好的とは言えないエルフたちの領土であり、南部は怪物たちの跋扈するデルニエール、それも悪名高いトロール沼と近いこともあり、内外共に、大きな危機をはらんでいる。

 長きに渡り、大陸で最も豊かな国として栄えてきたが、それぞれの領主が力をつけていくことで、皮肉にも国自体の存続は危ういものとなってしまっている。

*曙光の時代

 王とその嫡子たちの相次ぐ死去、そしてアングルランドによるパリシ包囲によって、非嫡子だったアンリ十世が擁立される。 

 

・軍事(北部/中央部)

 領主が抱える戦力毎に兵力も武装も異なる為、一概に高いとも低いとも言えない。ただ、徴兵された兵の多くは士気も練度も低い傾向にあり、中にはごく少数の傭兵でまかなっている領主もいるという。これ以上若者を徴兵しては、生産する者がいなくなってしまうということだ。

 このような領主は王の軍の招集にも応じず、わずかばかりの軍資金の提供を行うだけの者も多い。しかしながらそれ以上に、そういった状況を装い、私腹を肥やしている領主もまた多い。

 軍事力、功績等により階級のある軍制が敷かれているが、一方で、貴族たちの間では軍の階級よりも爵位、身分の上下に対する意識も強く、軍の階級が上の指揮官に対して身分の高い貴族が公然と反撥を示すことが多々ある。政治とは逆の力学が働き、統率にしばしば大きな混乱をきたしている。

*曙光の時代

 元帥ゲクランを中心に、彼女の指揮下にある軍は、一応の体裁と精強さをを保っている。

 南の戦線は長く膠着状態にあり、ややアングルランド軍が戦況を優位に進めている。

 

・軍事(辺境伯領)

 南との国境地帯では様相が一変する。怪物たちの侵攻を食い止めるため、そして国ではなく自分たちの為に戦っているため、兵の士気はすこぶる高い。辺境伯の名で知られるこの地の領主らは一流の軍隊を組織しており、その武名は各国に轟いている。彼らの結束は固く、そこだけ別の国のようだと言う者もいる。

 今の辺境伯たちの頭痛の種は、目の前に迫っている怪物の群れを食い止めつつも、度々領地の兵力を割いて、対アングルランドの為の、王の招集に応えなければならないことだ。彼らにとってアングルランドの侵攻などはどうでもいいと思っている者も少なくはなく、いっそ支配者が変わってこちらに援軍を寄越してくれるなら、アングルランドの王でもグランツ帝国の皇帝でも、主は誰でも構わないと公言する者までいる。

 

・住民

 村や街で住民登録されている者のほとんどが土着のアッシェン人であるが、他国の人間も多く見られる。地域ごとの生産がまったく安定していないため、特に行商を営んでいる者たちにとっては、大変な好機であり、稼ぎ時でもある。鉄道の少ない中部以南では特に、こうした行商人の姿を多く見かける。

 また、戦が長い間続いているため、何代にもわたって傭兵稼業を営んでいる者たちもいる。大なり小なり、傭兵団の姿も多く見られるようだ。流れの傭兵たちは住民登録はしていないものの、ほとんど地元に溶け込み、家庭を作っている者たちも少なくない。

 国家という概念はあまり浸透しておらず、住民に、アッシェンという国への帰属意識は極めて低い。

 

・宗教

 古来よりセイヴィア信仰(アモーレ派)の根強い地域である。土地神の信仰は、今ではあまり多い方ではない。

 都市部では、他の宗教の教会、神殿も見られる。

 

・言語

 公用語はアッシェン語。旅人や傭兵を相手にする時以外は、共通語を使うことは少ない。

 パリシだけは例外で、世界中から多種多様な人間が集まる為、普段から共通語を話す者も多い。

 

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