ゴルゴナ概略

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・ゴルゴナ Gorgona

 

 シレーナ海の中心に浮かぶこの小さな島こそが、世界経済の中心であり、大陸の命運を握っていると考える者は多い。この島からは海を跨ぎ、放射線状に広がる巨大鉄道橋によって大陸への陸路が確保されている。ゴルゴナを始発駅とする、大陸鉄道の橋である。ドワーフの建築技術の粋を集めたこの壮大な建造物を見ただけでも、だれもが直感的に、こここそ世界の中心であることがわかるに違いない。

 永世中立都市ゴルゴナの歴史は第一世界帝国時代より以前、神々の時代にまで遡り、街の創設以来、常に他国の動向に中立の立場を貫いてきた。それは現在も変わることなく続いている。

 

 大陸北部を中心に、網の目のように張り巡らされた大陸鉄道の土地所有権も、この都市のものである。敷設された線路上、及び各駅はゴルゴナのもので、ここでは各国の法は適用されない。

 島の中心にあるゴルゴナ山裾から広がるように街並は広がっている。一定の建築様式ではなく、その土地を買った者が好きな様式で建てている為、多国籍どころか多時代、さらに多種族的な様式で、街並は実に混沌とした様相を呈している。また人の出入りも激しい為、トカゲ人たちが作った独特の様式の建物の中に、エルフの家族が住んでいても、この街では特に驚くべきことではない。

 鉄道と蒸気の街としても知られ、都市部では大陸鉄道を小型化したような乗り物が、縦横に、かつ立体的に走っている。

 都市部の外縁では、他国でも見られるような穏やかな田園風景である。

 

・産業

 機械、武具、鉄鋼はもちろんのこと、鉄道運輸、金融等、ありとあらゆる産業が、世界で一、二を争う高水準である。食糧生産こそ狭い領土によりいくらか利も落ちるが、それでもゴルゴナで品種改良された生産物は他国では高値で取引され、食糧自給率も島の住民を養うには充分であると言われる。

 この島が資本を動かすだけで産業になると言われており、世界の富の実に半分が、ゴルゴナの息のかかった資本であるとすら言われる。

 経済のみならず、技術、知識の水準も高く、ありとあらゆる学術、養成機関もある。

 

・政治

 為政者たちは十年毎に、住民権を持つ者による選挙で選ばれる共和制。議会制民主主義で、三十一人の代議士によって議会は運営され、重要な法案については住民投票によって可否が決定される。

 一見分かりやすい政治制度と議会運営がなされているように見えるが、真の政治的実力者が、このような表舞台に立つことはまずない。

 他国との関係は全て良好。というより、ゴルゴナに楯突くことは、この世界での経済的な孤立を深めることになりかねず、あえて楯突くのは、そういうことに無頓着な怪物の群れくらいである。

 

・軍事

 志願制の兵たちによって、この島と大陸鉄道両方の防衛がなされている。シレーナ海沿岸の地域に怪物が発生し、その国の要請があった時のみ外征を行うが、それもよほどひどい被害が予想される時だけで、まず軍が他国の領土に侵攻することはない。国や大きな勢力同士の衝突には一切介入しない。

 兵制は完全な志願制。兵の給金は高く、年金制度もあるため、兵の募集にはかなりの人数が殺到する。しかしながら厳しい選別と試験が待ち受けており、募集人員より多少多めに採用することがあっても、その倍率は十倍を下らないという。地元住民よりも各国の傭兵に人気があり、毎年試験の時期になるとこの街にやってくるたくさんの傭兵たちで、安い宿泊施設は溢れ返るという。

 経験者、かつ元から腕自慢たちによる募集となるため、兵の練度は極めて高い。装備もよく、もしも兵力を大幅に増強することがあれば、今すぐにでも世界帝国を打ち立てることができるとも言われている。が、軍はあくまでも自分たちの領域を守るのに最低限の兵力しか持たない。

 

・住民

 人間からエルフ、ドワーフ、ハーフリング、そしてノームや獣人といった希少な種族や、ダークエルフ、リザードマン、オーク、オーガにいたるまで、ここでは知性あるあらゆる種族を見かけることができる。

 

・宗教

 あらゆる種族と文化が入り乱れているため、ここでは世界のあらゆる信仰が見られるとも言われる。たとえ邪教とされるようなものでも、それを街が規制することはない。

 結果として起きた事件や問題に対処するのみである。

 

・言語

 共通語以外で話す者は少なく、国や種族を同じくする者たち以外では、母国の言葉を話す者はいないだろう。

 現在の共通語はアングルランド語に非常に近いが、それは百年戦争以前に多くのアングルランド人がここを交易の拠点としていたことに由来するとも、それ以前にここで商売をしていた人間がアングルランドに多く移住した為とも言われる。真実はその両方で、二国の結びつきは強い。

 

 

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