デルニエール概略

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・デルニエール Derniere

 

 アッシェンの南、同程度の面積を持つこの地域は、かつてはアッシェンの領土の南半分であった。放棄された後は大半の土地が人の手つかずとなっており、怪物たちの跋扈する危険な地域でもある。が、南部を中心に人の住む集落や城塞もあり、それぞれが半ば独立しつつも、細々と交易を行っている。国を自称する勢力もあるが、勢力は小さく、他の国々から正式に国として認められるものは少なく、あったとしてもそう遠くない未来に内乱や怪物の襲撃によって滅んでしまう。

 ただ、南西部、エスペランサに近いアキテーヌ公領だけは別で、独立した国家として他国と交易を行っている。

 北部、アッシェンとの国境近くにある悪名高いトロール沼の他、あまり知られていないエルフやドワーフの集落もあるらしい。

 

・産業

 細々と農産物や工芸品の売り買いがある程度で、この地域特有の規模の大きい産業はない。

 たまに鉱脈が発見されることがあるが、掘り尽くされると鉱山町と共に閉鎖してしまう。他所から来た者たちが長居するには、危険な地域だからである。

 

・政治

 それぞれの自治体が緩やかな連携を取りつつ、自治領の統治を行っている。ほとんどは大きくても村と言える程度の規模だが、ごくまれに国と呼んでもいい規模のものが興ることもあり、その場合は典型的な封建社会を営む。

 大きな町が国を名乗り、王朝を開くこともあるが、ここにある自治体の多くは、ユーロ地域では村と呼ばれる以上のものではない。

 

・軍事

 それぞれの自治体が、その規模に合わせて自警団を組織している。自治体同士で連係して怪物の脅威に立ち向かうことはよくあるようである。

 

・住民

 元アッシェン人がほとんどで、住民のほとんどが自らの生まれ育った村を出たことがない。閉鎖的な社会を形成する一方、外の世界を知る旅人は歓待を受けやすい。まれに、身ぐるみを剥がされたり、殺されてしまうこともあるようだが・・・。

 デルニエール全体の人口も、他の地域からはわかっていない。無論、住民たちも知らず、せいぜい隣村に何人の人間がいるかを知っている程度である。

 

・宗教

 アッシェン時代の名残で、セイヴィア教アモーレ派が多い。しかし土地神の信仰もあつく、両者が入り交じった独自の宗教も多数存在する。

 世界から隔絶された時間が長過ぎたため、村ごとに違う宗教になっているという話もある。

 

・言語

 多くの者は南アッシェン語を話し、共通語すら用いられることは少ないようだ。ただ、小さな村でも数人は、共通語を話せる者はいる。

 ただその共通語も長く外界の人間が訪れなかったような村では、ほとんど独自の言語となってしまっている。

 

・"デルニエールの悪夢"

 いまだどこにあるかすらわかっていない、謎多き地域。そこに迷い込み、生きて帰った旅人、冒険者は、地図上ではありえないほどの広大な土地に、非常に進んだ文明、ないしは古代からの亡霊たちが住む、多くの都市があったと話す。

 都市ごとにその文明は異なり、とてもひとつの地域とは思えないという証言もある。

 その地域の広大さと実際の面積に矛盾がある為、大概は白昼夢や正気を失った者の話として一笑に付されるだけだが、時空の歪みや、異世界への出入り口だと考える探検家もいる。

 また、ゴルゴナの管理下にない異世界への門が、このデルニエールの悪夢にあるという噂もある。

 

 

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