二剣の地

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・二剣の地

 アッシェン西部、北はレヌブランの南端から南はトゥアールまで、南北に帯状に広がるこの一帯は大陸歴4013年現在、二剣の地と呼ばれている。

 旧アッシェン領にして、今はアッシェンとアングルランドの百年戦争の戦場となりがちな地域で、度重なる戦火にこれ以上翻弄されまいと、これらの地域を治める領主たちは、百年戦争に対して中立であることを選んでいった。中立とはいえ本来それが想起させるようなどちらの国にもつかないというものではなく、領主たちは双方の王家に剣を捧げるという、ちょっと変わったやり方で自らとその領土を守っている。

 ただ、参戦要請や徴発には、もう一方の王家に不利益をもたらすという名目で、それらに応じることはない。一方で糧食や武具の提供を行うこともあるが、それらはあくまで取引で、たとえ旧支配者であったアッシェンとその軍にもその態度を崩すことはない。また砦や城の"貸し出し"も行うが、それも賃料を払った場合のみの話だ。

 もっとも、二剣の地の領主たちは同盟を結ぶ一つの勢力ではない為、各領主には親アングルランド、親アッシェンといった温度差はある。かつてのアッシェンであった為、親アッシェン派は多い傾向にある。また、領主の血統が途絶え、領地の代表をそこを治める騎士たちの投票によって決めている地域もある。

 基本的に両国に対して中立であるという共通項しかないように思えるが、ほぼ全ての領主が願うことが、一つだけある。それは一刻も早くこの百年戦争が終わり、どちらか一方に捧げた剣を捨てることである。

 また、二剣の地と呼ばれる地域の中の全ての領地が中立ではなく、完全にどちらかの国の領土で町もある。アッシェン側の町や砦は、元々中央に近い貴族の領地であったもの、アングルランド側はそれらの町を戦で奪ったものである。

 

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