ヴァンパイア  Vampire

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cecilia7i

 ヴァンパイアとは、いわゆる吸血鬼よ。生き物の生き血を吸って、そのかりそめの命を生きながらえさせている。
 吸血鬼といっても種々様々だけど、ここでは最も個体数の多いものを紹介するわ。レッサーとも呼ばれるわね。

 彼らは、他の吸血鬼に血を吸われて吸血鬼化するの。一度に血を吸われ過ぎて吸血鬼となる者、徐々に血を吸われてそのようになってしまう者、他にはその爪や牙に傷つけられてそうなってしまう者、この辺りの経緯は様々ね。
 ただ、どのような形であれ、吸血鬼となってしまった者は、その命を失い、不死者として甦る。そして今度は自らが血を吸う怪物として、この世界をさまようのよ。

 なりたての吸血鬼は、強烈な吸血衝動を持っているものの、人間であった頃の記憶も理性も、まだ失ってはいない。でもそれもそう長くは続かず、いずれは血を求めるだけの怪物になってしまう。あるいは意志の強い者がかなりの長い期間、人としての理性を保っていることもあるけれど、それもそう長くはないでしょうね。
 時間を経るごとに、彼らは肉体的にも怪物へと変わっていってしまう。生前とはかけ離れた肉体に、正気を保っていられる者は、そうそういるものではないわ。
 いずれにせよ、こうなってしまった者はもう、助かる道がないと言われてるわね。

 怪物としての吸血鬼の身体能力は、その見かけ通り、とても高い。圧倒的な筋力に加え、翼の発達したものは、空を飛ぶこともできる。
 加えてその凶暴性から、とても駆け出しの冒険者が相手をできるようなものではないわ。軍の助けなしに討伐したいのなら、中級以上の腕の良い冒険者たちを雇うか、その道の熟練者、吸血鬼狩人たちを雇うのがいいでしょうね。

 彼ら下等な吸血鬼、レッサーは、吸血鬼が持つとされる、あらゆる弱点を持っているわ。日の光、聖印、にんにく、銀、そういったものに、すこぶる弱い。流れる水の上、たとえば川の上を飛んで移動することもできないとも言われてるわね。眠っている間に心臓に木の杭を打ち込むと、その動きを封じることができるという伝説もある。それらに加え、その吸血鬼特有の弱点も持っているかもしれない。
 ただ、彼ら自身の身体能力が高いことを考えれば、それらを持っているだけで安心はできないわね。たとえば聖印をかざせば彼らはそれを嫌がり、襲ってはこないかもしれないけど、かさにかかって追いつめてしまえば、聖印をかざす腕ごとその一撃で跳ね飛ばされてしまうかもしれない。

 ヴァンパイアには他にもロードといわれる上級種を含め、多くの個性的な種、血脈が存在すると言われているわ。それらについては、項をあらためて紹介するわね。

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