豚や猪と人を合わせたようなこのオークという生き物は、大陸全土で見られるわ。人里離れた土地はもちろん、ゴルゴナのような大きな街でもよく見かける。
彼らオークは、私たち人間よりも遥かに頑健で、力も強い。そして恐ろしく粗暴で、凶悪な者がほとんどね。
知能は人間よりも低いとされているけど、それはあくまで平均値を比べての話であって、オークの中にも魔法を操るような、高度な知能の持ち主はいる。
大半のオークは群れをなし、人の住まない土地を徘徊して、動物や自分たちよりも弱い生き物を狩って暮らしているわ。時折人間や亜人種の住む村を襲撃することもある。私たち冒険者が相手にするのは、主にこうしたオークたちね。
より大規模な群れとなると、たくさんのゴブリンたちを奴隷のように扱い、トロールたちを用心棒のように使って、街を襲うようなものもあるわね。彼らは厳格な身分制ときちんとした指揮系統も持っていて、こうなると軍隊でも相手にするのは大変なようね。
デルニエール北部のトロール沼、風の丘東部の巨人山脈には、こうした大規模な群れが、いくつも形成されているわ。彼らは群れ同士で争い、お互いを吸収していくから、いくつかの小さな群れが数ヶ月で巨大な群れに発展するのも、そう珍しい話ではないの。
そして大きな集落や砦を作り始めると、もう人間はもちろん、他の怪物たちでもそう簡単に手を出せなくなる。あまり知られてないけど、こうしたオークの国というのも、大陸各地に点在していると言われているわね。
ちなみに、全てが粗野で邪悪な存在というわけではないわ。ゴルゴナに姿を現すようなオークは知性も理性も高い。共通語も当たり前のように話すし、多種族の言語を操る者もいる。中にはそれだけじゃない、とても狡猾な者もいるわね。
オークを単に私たち人間の敵としての存在として捉えてもいいけれど、私たち人間との共通点は非常に多い。人間の中にも彼らのように人を襲う者はいるし、そしてたくさんの国が、人間同士の争いを繰り広げている。
オークはエルフと鏡に映したように反転した存在と言われているけれど、私たち人間は、ちょうどその中間にいるのかもしれないわね。
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