ゴブリン  Goblin

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cecilia7i

 この小さく、臆病で、それでいてとても残忍な生き物たちは、大陸各地で人やその他の亜人種たちを襲っているわね。冒険者はもちろん、普通に暮らしている人たちにもお馴染みね。

 ゴブリンはオークの遠縁の種族と言われてる。でもオークが主に狩猟で暮らしているのに対して、ゴブリンたちはキノコやコケ類を栽培して食糧にしたり、鉱石を採掘したりと、いくらか生産的なことをしてもいる。特に鉱脈を巡っては、ドワーフやノームたちとの対立も多く、彼らを見つけ次第、(勝てそうだと踏んだ時に限るけど)皆殺しにして、その縄張りを維持しようとするわね。
 その繁殖力はオーク以上だと言われているから、狩猟的なことだけでは種を維持できないってことでしょうね。家畜も飼っていたりするし、私たちがモンスターと呼ぶ種族の中では、ある意味で私たち人間に最も近い生き物と言えるわ。
 ゴブリンの知能は概ね低いけれど、狡猾さでは時に私たちを凌駕すると言ってもいいし、魔法を扱うような、高い知能を持つ個体もいる。

 でもゴブリンたちの残忍さは、決して私たちとは相容れない。一匹一匹の戦闘力は低く、それこそ数匹なら村の力自慢一人でも追い払える程度だけど、彼らはほとんどの場合、群れで行動する。そして獲物を見つけては、囲んでなぶり殺しにするの。彼らに命乞いをした所で、せいぜい奴隷にされていくらか生きる時間が延びるだけよ。ロクな食事も与えられず、死ぬまで酷使されるのがオチね。

 そしてある意味では最も気をつけなくちゃいけないのは、オークたちの群れに吸収され、その群れの下層階級として活動しているゴブリンたちね。彼らは平時においてはその生産力で群れを支え、戦闘時にはその数でオークたちの突撃を支援する、結構な戦力になる。
 彼らは一見オークたちに虐げられているように見えるけど、一方でオークたちの戦闘力を利用して、群れの勢力を拡大してもいるのよね。

 ゴブリンの小さな群れは、近隣に住む住人たちにとっては厄介で、こうした小さな群れを追い払う要望は各地にあり、こういった仕事が駆け出しの冒険者たちの収入源にもなってるわね。
 私も、この手の仕事はやってきた。そして駆け出し冒険者では手に負えない大きな群れを相手の戦いは、今でもやっているわ。戦闘で、数はとても大きな力となる。個々の戦闘力が低いからといっても、殺意ある集団相手の仕事は、いつだって油断禁物ね。
 彼らの作る刃物がいくら鈍いなまくらでも、人間の頸動脈を切り裂くには充分なものは持っているわけだから。

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