アングルランド西部の島、エニスの伝承に多く見られる、伝説の首なし騎士の妖精よ。今はパンゲア北部全体で、目撃されているというわ。
その姿は全身に甲冑を纏い、首なしの馬、あるいは首なし馬に引かれた馬車や二輪戦車で私たちの前に姿を現す。
彼ら彼女らはある晩ふらりと家を訪れ、そこで死すべき運命にある者を予告して去っていくわ。そしてその日から一年後、その予告は本当のものとなる。
病気や不慮の事故で亡くなる者や、デュラハン自身が予言を本当のものとするために、直接やってくることもあるそうよ。
彼らの目的や真意が何なのかはわからない。けれど、予告に現れてから一年以内にそのデュラハンを倒せば、死の運命から免れることができると言われているわね。
でも運良くそのデュラハンを見つけたところで、このデュラハン自身の戦闘力は、おそろしく高い。ゆえに、一年を待たずして返り討ちで殺される犠牲者も少なくはないというから、なんとも皮肉な話ねえ。
デュラハンは実際には不死者ではないけれど、不死者の持つ弱点の多くを持ち合わせている、いわば夜の眷属ね。
デュラハンの死の運命から逃れられる者は数少ないけれど、生き残った者は吟遊詩人の物語で語られることもあるわ。それもまた、むしろデュラハンの伝承として、人々に長く語り継がれていくことになるわけだけど。
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